千秋楽の朝
いよいよ本日で幕を閉じる「ブルームーン・クリスマス」
公演は日に日に若いカンパニーが本番の中でみんな少しずつ何かを得て、熱を帯び、良い形で千秋楽に向かっていて、ありがたい事にお客さんも沢山ご来場頂き連日満席。
何一つ悩ましい事など無い、楽しい日々だ。
そんな日々に、余計な問題が急浮上した。
チェキだ。
一つ前のブログでお伝えした通り、今回僕は共演者の子が終演後にチェキを売ろうと休憩中に準備しているのを見て、なんか楽しそうだと「俺もやってみる!」と思い立ち、急遽販売を決めた。
とは言え、僕だってバカじゃない。自分にそれほどチェキ需要が無い事くらいは認識済みで、手始めに5枚だけ作って、それも売れ残って「マジかー!!」とか言う遊びのつもりだった。原価の高いチェキも、5枚売れ残るくらいならキズは浅く済むという計算ももちろん込みだ。ここまでは至って冷静だった。
しかし想定外の事が起きた。
初日に5枚完売!!!!!
それも即完と言うオマケ付き。
これを受けて原くんは、こう思った。
「おい、俺、なんてったってアイドルじゃねーか」
僕は深く反省した。
自分はもう、そういうジャンルの人じゃない。
そういう世界に生きていたのは遠い昔。過去の栄光だと、自分で自分に言い聞かせていた事を。
こんなに求める人達がいるじゃないか、アイドルな原将明を。
何を恐れていたんだ。その声に素直に耳を傾け、期待に応えるべきじゃないか。
そう決心し、僕はチェキを大量追加した。
初日の勢いなら、これでも足りないくらいだが、まぁそれでも今までよりみんなの不満の声にはだいぶ応えられるだけの数は用意したつもりだ。
そんな安心感と達成感の中、気付けば今日は千秋楽。
これが今の残りチェキだ。
やってしまっている。
初日のあの即完の勢いはどこえやら、そこからはドサ回りのような「あのぉぉ、良かったらぁぁ...」と低腰で売り回るが、すでに後の祭り。
撮り過ぎたチェキはいつまでも僕の手元に残り、チェキの中の幻想アイドル原将明くんはキラキラと笑っているのだった。
今日は眠りが浅かった。こんな時間にブログを更新しているのは、何もストイックに早起きした訳じゃない。起きてしまったのだ。予定では足りてない睡眠時間をケアする為にもっとしっかり寝るはずが、必要なく早く起きてしまった。
全てはチェキのせいだ。
チェキの売れ残り恐怖が僕の安眠を奪った。
残るチャンスは今日一日、それでも僕は奇跡を信じる。僕はアイドルのはずだ。そうなんだ。あの初日に感じた手応えが間違いじゃないという事を、今日で証明してみせる。
決戦。チェキ千秋楽の朝だ。